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~散花~
第46章 夜更けに
「聞いてないぞ」
「わたくしも本日はじめて伺い、困惑しております」
「ったく、勝手なことをしやがって。いったいどんな素性の女だ」
「申し訳ありません、そのあとすぐに琳夫人さまがお倒れになられたものですから、まだ身元調査をできておりません…が、范玲利と名乗っておりました」
「はっ……ン…レイリー…!?」
ふと、険しかった秀瑛の顔色に一点の吃驚が浮かんだ。
「レイリー…レイリー…」
何かを思い出すように、小首を捻っている。
「殿下のご存知置きの者でしたか?」
「いや……まさかな…」
何度も首を傾げながら、秀瑛は再び、おもむろに歩を進めた。