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~散花~
第46章 夜更けに
玉蘭の額に濡れた手拭いを置きながら、玲利はホッと息をついた。
よく眠っている。
いきなり四肢を痙攣させて卒倒したときは、こちらの心臓が止まるかと思った。
とにかく、命にかかわるようなことではなくて良かった。
「ゆっくり休みなさい…」
玉蘭の安定した寝息を背に、玲利は御簾を深く引き下ろして奥の間を出た。
どす どす どす――
近づいてくる、やかましい足音。
(何よあれ。玉蘭が目を覚ましてしまうじゃない)
玲利は、むっとして目を上げた。