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~散花~
第46章 夜更けに
「そ…それより、あいつの様子はどうなっている」
「玉蘭なら、奥の間で眠っているわ。呼吸も落ち着いて、もう心配はないそうよ」
「そうか…しかし、いったい原因はなんだ。本当に、酒の飲み過ぎだけが理由か?」
「私にはそうは思えない。あれは…間違いなく何かの中毒の症状だわ」
「お待ちくださいませっ」
加蓮が珍しく声を張った。
「琳夫人さまのお食事は全てわたくしが管理し、わたくしが毒見もしております。中毒などと…聞き捨てなりません」
「べつに、あなたが作った料理のせいとは言ってないわよ。でも、例えば今日の宴の料理は? お酒は? 毒見をしたの?」
「いえ、しておりませんが…でも…」
加蓮は眉を曇らせた。
中元節の饗宴料理は大膳職が一括して調理したもの。后妃から女官、下々の者までがみな同じものを口にしている。玉蘭以外の人間が倒れたという話は今のところない以上、今日の料理に毒が盛られていたとは考えにくい。
御酒とて同じこと。
(御酒とて……)
そのとき、加蓮の顔が蒼ざめた。