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~散花~
第5章 寝物語
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玉蘭は、むしょうに悲しくなった。
声を殺して涙を流した。
結局わたしは道具なのだ、と思った。
母が大事そうに握りしめていた金子の袋が脳裏をよぎる。
わたしは家族のために自分でこうなることを決意した。
それなのに、涙があふれた。
売られたのだ、と思った。
捨てられたのだ、と思った。
そして玲利もまた、己の欲のためにわたしを利用しようとしている。
わたしの幸せなど誰も考えてはいないのだ。
たとえ皇帝の妻となっても、数回しか結ばれることなく、そして20年後にはきっと後宮を追われるにちがいない。
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