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迷路・・・Ver.K
第9章 駆け引き

色んな事を
かき消すように
撮影を勢いよく片付け

やっと
仕事の目処がたったのは
もう夜の10時を過ぎていた



「マシロ、もう
あがっていいぞ

ごくろーさん」




「はい

あの…神島さんは?」




「あぁ

明日の準備
軽くやって帰るよ
明日、ユウヤが来る保証は
ねーからな」



来ないかもしれないと
思っていた


合間に何度も
携帯をチェックしたけど
ユウヤからは
なんの連絡も入ってなかったからだ




「じゃあ
私も手伝います」



「ありがとな

でも、かまわねーよ
明日、また大変かもしれねーから
お前は早く帰れ」




「あ…はい」




「どした?

元気ねーじゃねーか」





マシロは
少し沈んだ顔を見せた





「女だからですか?」




「は?」




「私が女だから

早く帰らせるんですか?」




マシロが
真っ直ぐに
俺を見る




「そんなことねーよ

俺にとっては
お前もユウヤも
おんなじだ。安心しろ」




そんなことはない
本当は
どこかで
マシロが女だと
意識している


あの時
肩をかりた時の
感触は・・・女だった


だから・・キスを・・




”男と同じように”




そうマシロが思っているのは
薄々分かってはいるが・・・




「わかりました」



若干
不機嫌な目ではあったが
マシロは引き下がった



「おう、お疲れ」




ちょっと
ほっとした俺は

そう言い残して
マシロから
視線を外した



マシロと
視線を合わせていたら


心の中まで
読まれそうな



そんな気がしたから





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