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第11章 涙の理由

まだ

マシロは
中にいるんだろうか




ただ
居るだけじゃ


ねぇのかもしれない




そう思うと

俺がやってきたこと
すべてが
間違っていたような気がして


胸が痛い




マンションを
前の通りから見上げ

煙草に火をつけ
鍵を
ポケットから
取り出した




俺の

好きな時に
使っていた・・・鍵




いや



本当は
好きな時に
ふらっと
ココに来てた訳じゃない



神島さんが
疲れてない時

神島さんが
仕事で
凹んでるとき



酔ってるとき



機嫌のいい時





拒絶されない
そんなタイミングを
見計らって


ココに・・・来てた




煙草を吸うと

少しだけ




ほんとうに

少しだけ







胸のつかえがが

とれた気がした