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執事とお嬢様の禁断の模様
第1章 遅刻しますよ

私が7歳のとき、私の両親は他界した。
交通事故で、亡くなった。

………私を、かばったせいで。


<うっ…ひっく…ううっ…な…んで……うぅっ>


<お嬢様!>


私が広い庭の隅で泣いていると、誰かが声をかけてきた。
私は声のしたほうを向く。


<……浅葱…>


声をかけてきたのは執事の浅葱。
息を切らせている。走ってきたの…?


<…お嬢様…よかった、こんなところにいらっしゃいましたか>

<………>

<さぁ、早く帰りましょう。もうすぐ寒くなってしまいますから、風邪を引いてしまいますよ>

<…いやっ!私、ここで死ぬの!>

<妃奈浬お嬢様……>


浅葱は困ったように私を見ている。


<…な、なんで…なんで、なんで、私をかばったの?
2人は私のっ、み、身代わりになったのにっ…普通に生きるなんて、できない、よっ…そんなのやだ、そんなのやだよ……な、なんでっ…なんで死んじゃったの…?
そんなの、う、嬉しくないよっ…2人の代わりに生きるなんて、そんなの…っ嬉しくない…!>


私が涙を乱暴にぬぐっていると、浅葱が私の腕を優しくつかんだ。

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