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執事とお嬢様の禁断の模様
第2章 同志
えっ、ちょ、ちょっと待って?
孝博さんって……
「孝博さんって、あの孝博さんだよね?」
「うん…九条孝博さん」
「沙耶香の、執事さん?」
沙耶香は顔を赤らめながら、こくんとうなづいた。
えっ、じゃあなに? じゃあ……
「……沙耶香の好きな人も…執事…? しかも、自分の…」
「うん……」
「えっ……なに、それ」
「驚いたよね……?」
不安げにうつむく沙耶香。
「いやっ…うん、驚いたけど……え? まさか……」
「………」
「……す、すごい! すごい偶然だね!」
「……え?」
私が沙耶香の顔を覗き込みながら言うと、沙耶香は「え?」という感じで私を見た。
しかし私は気にせず、話を続ける。
だってすごい、同じ悩みを持つ人が、こんな身近にいるなんて…!
しかも、執事への恋なんて! すごく珍しいよね!?
「すごい! 同志なんだね! もしかしたら、運命かも!
神様が巡り合わせてくれたのかも…!」
「う、うん…え?」
「これからは同じ悩みを持つ同志、相談できる! やった!」
「………」
私は1人で盛り上がっている。
ふと気づくと、沙耶香が私をじっと見ていた。
「あ…ご、ごめん、1人で盛り上がっちゃって……」
私はなんだか1人で盛り上がっていたのが、恥ずかしくなった。
沙耶香は私を見て、クスッと笑う。
「ううん、大丈夫。そうだね、これからは相談し合ったりできるね」
「え? 呆れてたんじゃ…ないの?」
「うん、なんだか妃奈浬が喜んでくれるなら、
もっと前から相談しといたほうがよかったな~って」
沙耶香はクスクスと笑っている。
そんな沙耶香を見ていたら、私もなんだか気が抜けた。
「あ、なんだぁ……フフ、まぁ確かに、
もっと前から相談してくれればよかったのにな~とは思ったよ」
「そっか…ごめんね。なかなか言い出す勇気がなくて……」
「ううん、大丈夫。ところで好きって自覚したのはいつなの?」
私が聞くと、沙耶香は顔を赤らめた。