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執事とお嬢様の禁断の模様
第10章 心からの笑み 一枚の写真
涙が溢れる中、私は顔を上げて京子さんに笑い掛けた。
「京子さん……秀一に、伝えて。
ずっと、待ってるって。あと、ありがとう、愛してるって」
「…かしこまりました」
京子さんも嬉しそうに、柔らかく笑った。
私はもう一度京子さんに笑い返してから、
手紙をもう一度読み返す。
とても胸がいっぱいになって、また涙が溢れてくる。
さっきまで……喜びなんて、なかったのに。
昨日まで……
秀一を思い出しては悲しみにうちひしがれて……
泣いてばかりだったのに。
今は悲しみじゃなくて、喜びによる涙。
こんなふうに私の心境をころころ変えられるのは、
秀一だけだと思った。