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執事とお嬢様の禁断の模様
第4章 更なる山道

私の目の前にひざまずき、心配そうに瞳を揺らがせて指で私の涙をぬぐう秀一。
「ふっ…ぅうっ…」
私はホッとして思わず、涙する。
「っ…しゅっ…しゅう…いちっ……」
「妃奈浬お嬢様…遅くなり、申し訳ございません…」
「来てっ…くれた…よかったっ……」
「…っ…」
秀一はまるで我慢していたかのように、私を優しく抱き締めた。
その温かさに、また涙腺が緩む。
私も秀一の背中に腕を回す。
「…お嬢様が危険なときは、いつでも駆けつけますよ。お怪我は…ありませんか?」
「怪我は…ないけど……」
アソコにアレをすりつけられたなんて…言えない。
そのときのことを思い出し、気持ち悪さで血の気が引くのがわかった。
「…わかりました。では…詳しくは屋敷に帰ってから話してくださいますか?」
「うん…」
秀一は私を解放し、立ち上がらせてくれた。
「…残念ながら車はありませんが、すぐ屋敷ですので…参りましょうか」
「うん…」
私はめずらしく笑わずに、心配そうに私を見る秀一の横に並ぶ。
私達はそのまま言葉も交わさずにお屋敷に帰った。

