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キスマーク
第2章 紅
次々と部屋を出ていく上司を眺めながら
部屋に私としずかだけが残るのを待つ。

「ちょっと。しずか!」

私はズカズカとしずかのそばまで行き
一言文句をいってやらねば!と意気込んだ。

「あんた!何もかも知ってたでしょ!」

書類をトントンを何食わぬ顔で そろえながら立ち上がると

「もちろん知ってましたよ?
前にも1度、俺挨拶に来てるんだけど?」
「え・・・」
そうなんだ?
「昨日、バーで明日よろしくって挨拶もしたよ」
へ~・・・そーですか・・・

「まぁ、優衣ちゃんは昨日も俺の事なんか覚えてないみたいだったけどね」

前に挨拶に来た時は
大きなプロジェクトのメンバーに選ばれたことで
少し浮ついていたのかもしれない。

それにしても、相手先のメンバーの顔を忘れるなんて初めてだ。
自分自身にビックリしていると

「こんな良い男、忘れててびっくりした?」

なんて笑ってくる。
憎らしい。

「別にそんなことは微塵も思っていません」
「そう?昨日の酔った優衣はそう言ってたよ」
「・・・・」
「こんなイケメンと仕事出来るなんて嬉しいわ。って言ってたのに」
「・・・・」
「やっぱオンナって酔っている方が素直なんだな」



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