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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第16章 【戀月桜~つきこいざくら~】決着~安政六年四月五日宗徳寺 
「おまんはここまで待っとくんじゃ。俺は踏み込んでゆくけんど、もし、中から俺らが出てくるようなことがあったら、おまんはすぐどこかに身を隠してくれ」
 龍馬の囁きに、小紅は頷いた。
「ほなら、行くぜよ」
 龍馬はそっと扉を開けながら、刀の鯉口を切った。
「ご武運を」
 小紅が声をかけると、彼がつと振り返った。茶目っ気たっぷりに片眼を瞑って見せるところは、やはり、この男、ただ者ではない。
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