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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第16章 【戀月桜~つきこいざくら~】決着~安政六年四月五日宗徳寺 
「後でゆっくりと夜桜見物でもしようぜ」
 龍馬の姿が御堂に消えた後も、小紅は細く開いた扉からなりゆきを見守っていた。その場所からは幸いにも堂内が何とか見渡せる。
 今夜もあの夜のように、盗品やご禁制品が山と積まれ、車座になった男たちがそれを競り落としているようだ。
 前回は心に余裕がなくて確かめようもなかったが、どの男たちも一様に身なりはよく、どこから見ても相応の商人、中には身分の高い武家らしい男の姿まであった。
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