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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第2章 【残り菊~小紅と碧天~】 恋一夜
「叔父さま」
小紅は自然に武平の胸に飛び込んでいき、武平もまた小紅をその腕に包み込んでいた。
「怖かったんだな。もう、大丈夫だ。これからは私がもっと眼を光らせているから」
小紅はコクコクと何度も頷いた。武平の腕の中で小紅は泣くだけ泣いた。武平は小紅が泣き止むまで辛抱強く待ち続けてくれる。
やがて小紅がすっかり泣き止むと、武平はいかにも彼らしい笑顔で言った。
「少しは気が晴れたかい?」
「はい」