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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第2章 【残り菊~小紅と碧天~】 恋一夜
「おいらが番頭さんに話しているのを丁稚仲閒が見ていたんです。多分、その子が若旦那さまに」
 後は言わなかったが、告げ口したということだろう。どうやら相当に聡い子のようである。小紅が考えていることも一瞬で見抜き、その応えを口にした。
「ありがとう。あなたが番頭さんに知らせてくれたから、旦那さまが来て下さったのね」
 小紅は懐から懐紙に包んだ金平糖をそっと取り出した。
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