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第20章 第二部・第四話【悲願花～女になった男～】　定命　　

「何だって？」
「夕方からお腹が痛いって言い出して、熱もまだ下がってないのに、下痢が酷くって」
　おい、お前は曲がりなりにも人の生命を預かる医者の端くれだろう？　こんなときに淫らな妄想に耽ってばかりいる場合じゃないだろうが。
　栄佐は自分に活を入れた。
「こうしちゃいられねえ」
　今は小紅を振り向きもせずに言うなり、住まいを飛び出した。