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第23章 第二部・第五話　【冬柿】　冬柿

　誇り高い母は父が側妾に産ませた異腹の弟妹と彼が話をすることすら嫌い許さなかった。自分なら他の女に眼を向けたりはしない。小紅一人を生涯愛するだろう。だから、必然的に子どもは皆、小紅を母として生まれてくることになる。
　何なら今日中に小紅と二人で差配を訪ねて仲人の件を頼んでみようか。ここの長屋はさる大店の隠居が大家だが、老齢で殆ど顔を見せることはない。店賃を集めたりするのは差配の徳市である。