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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第4章 【残り菊~小紅と碧天~】 流星
「おお、忘れてた。冷めない中に食おうぜ」
 栄佐は小脇に抱えていた紙包みを眼の前に置いた。
「これはなに?」
「引っ越し祝いの礼だよ。ここの長屋の入り口に木戸番の爺さんが住んでるだろ。あそこで色んなものを売ってるんだが、この時季は焼き芋も売ってるんだ」
「頂いても良いの?」
「だから、手ぬぐいの礼だよ、礼」
 栄佐が先に紙包みを開いて食べ始めたので、小紅も遠慮なく貰うことにした。
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