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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第4章 【残り菊~小紅と碧天~】 流星
「おっと、いけねえ。流石にもう帰ぇるわ。嫁入り前の娘の家に図々しく泊まり込むわけにはいかないからな」
栄佐が立ち上がった。小紅は表まで彼を見送った。
腰高を開けて外に出ると、ひやりとした冬の夜気が二人をすっぽりと包み込む。二月初めの冬の大気は身体の芯まで凍りそうなほど冷たい。二人の吐く息が白く細く消えてゆく。
「うぅ、冷えるな」
栄佐はびしょ濡れの犬のように身体を震わせた。
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