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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第4章 【残り菊~小紅と碧天~】 流星
 小紅は何気なしに空を見上げた。紫紺の空には綺羅星がまたたき、生まれたばかりの月が危うげに掛かっている。
「あ、流れ星」
「本当だ」
 小紅が叫ぶのと栄佐が呼応するのはほぼ同時であった。
 光り輝く無数の貴石を撒き散らしたような空に弧を描きながら、ひときわ眩(まばゆ)い星が緩やかに堕ちていく。
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