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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第4章 【残り菊~小紅と碧天~】 流星
「おお、そうだそうだ。こいつをお前に教えてやっとかないと。来月早々、早春顔見せ興業をやるんだよ。その舞台で俺、初めて役を貰ったんだ。科白もなしの役だが、いちばん後ろのその他大勢じゃない。生まれて初めてのちゃんとした役付きなんだぜ」
 秀でた額、真っすぐな鼻梁、どこまでも美しい横顔を見ているだけで、小紅の胸はときめいた。男が生き生きと夢を語る姿は見ていて、気持ちが良い。
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