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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第4章 【残り菊~小紅と碧天~】 流星
「今まではしがねえその他大勢の一人だったが、今度は違う。この役を足がかりに、もっと上に、いずれは立て役までやれるようになれたらな」
 栄佐の漆黒の瞳は、今夜の星で彩られた空のように輝いていた。
 二人の間を冬の夜風が通り過ぎる。小紅がクシュンと小さなくしゃみをし、栄佐は今更ながらに我に返ったようだ。
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