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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第4章 【残り菊~小紅と碧天~】 流星
 演技の善し悪し、上手下手は小紅には判らない。でも、栄佐はいつか立て役になれると信じていた。彼なら、きっと夢を叶えられる。多分、彼の才能とは別のところで、自分はそう信じたいと思っているのだと彼女自身も判ってはいた。
「これはもう競争だな。どっちが早く夢を叶えるか」
 栄佐が愉しげに言った時、表の腰高が音を立てて開いた。二人が一斉にそちらを見る。
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