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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第4章 【残り菊~小紅と碧天~】 流星
「―」 
 瞬間、小紅の顔が凍りついた。一方、傍らの栄佐は何が起きたか判らないようだ。
「これはこれは。亭主の許を逃げ出した女房がよその男と夫婦気取りでよろしくやってる。一体、どういうことなんだろうな」
 もう二度と顔も見たくない男―準平が三和土に立っていた。
 栄佐が小紅をちらりと見た。
―お前、結婚していたのか?
 その顔には書いてある。小紅は懸命に首を振った。
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