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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第6章 【残り菊~小紅と碧天~】 運命が動き出す瞬間
「俺に考えがある」
 彼は〝大部屋控え処〟の札が賭けてある部屋の前で止まり、小紅を先に押し込み、自分も続いた。
「丁度、皆が出払っていて良かった。とにかく、お前はここで着替えるんだ」
「着替えるって―」
 栄佐は小紅を真正面から見つめた。こんな真剣な彼を見るのは初めてだ。
「良いか、これから俺の言うことをよく聞けよ」
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