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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第6章 【残り菊~小紅と碧天~】 運命が動き出す瞬間
「小紅、滅法きれぇだぜ。こいつは二度、惚れ直しそうだ」
「もう! こんなときにふざけないで」
 小紅は赤くなる。白粉をかなり厚めに塗りたくっているので、栄佐に赤面したのを感づかれないだろうことがせめてもの慰めといえた。
「見てみな」
 と、舞台に出る前に姿見で見せてくれた自分は、見たこともないどこか別の女に見えた。
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