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マネキンなカノジョ
第6章 カノジョと砂浜
 
 真っ黒い肌に筋骨隆々の逞しい体型。

 二メートルはあろう大柄な体格に、スキンヘッドの頭。

 鋭い眼光は、どう見てもカタギとは思えなかった。

「公衆の面前で、何してくれてんだぁ?」

 スキンヘッドの額に青筋が浮かんでいる。

「あ、あの…彼女とは………」

「あぁん? 言い訳すんのか? ゴラァ」

 丸太の様な太い腕の上腕筋がピクッと動く。

「あ……いえ……その………」

「んなチャラチャラした姿で、度胸はねぇのかゴラァ」

 分厚い胸板の盛り上がった筋肉がピクピクとしている。


…ホントに監視員かよぉ…


 砂の熱さをなんて感じていなかった。

 脂汗が体中から吹き出てくる。

「ちょっと、ツラ貸して貰おうかぁ?」

「えっ!? あ、いや………」

 こんな強面の大男連れられたら、何処で何の目に遭うか分からない。

「アンちゃんに、拒否権はねぇんだよ」

 ムズッと首を掴まれた。

 ヒョイと片手で軽々と持ち上げられた。

 まるで猫の様に持ち上げられ、明日香ちゃんから離れていく。


…あぁ…俺…どうなっちまうんだ………


 ブラブラ脚を揺らしながら運ばれる。

 途中で同じ様な大男が、海から若い男を引き摺ってくる姿が目に飛び込んだ。

「アニキも捕まえたんかぁ?」

「玄、お前もか?」

 兄弟だと分かる会話を耳にしながら、大人しく運ばれるしかなかった。


…ここの監視員……凄すぎだろ………
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