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マネキンなカノジョ
第6章 カノジョと砂浜
 
「ここが何処か分かってんのか? あぁん?」

 頭上から降り注ぐ声に、丸くなりたい衝動に駆られる。

「う、海…です…」

「真昼間だよなぁ?」

「は、はい……」

「他に客…居るよなぁ?」

「は、はい………」

「中には子どもだって居るよなぁ?」

「は、はい…………」

 もはや、『はい』しか言えなくなっていた。

「おらぁ、監視員してんだけどよぉ…」


…監視員?…
監視員って…そんな危ないヤツ…居ない……よな………


 頭の中に、ヒョロッとした体型の青白い顔をした監視員の姿が浮かぶ。


…厳ついのは声だけ…?
ホントはコイツ……
たいしたことないんじゃ……


 強張る体の緊張が、僅かに解れた。

 いざとなりゃ勝てるかもと踏んで、ギュッと瞑った目を薄く開けてみた。

「…………すいませんでした………」

 絶対に勝てなそうな大男がそこに居た。
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