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マネキンなカノジョ
第7章 カノジョとお泊り
 
 確かに、明日香のこんな姿を見れば、軽い先輩が大人しくしてるはずはなかった。

 しかし、戻ってきてから、ずっと様子がおかしかった。

「何とか言いなさいよっ!」

 先輩の体を激しく揺する美奈。

 抵抗する素振りもなく、何度も先輩の頭が壁に当たる。

「み、美奈っ。それ以上やっ……」

 止めに入ろうとした。

 しかし、シャツの裾を掴まれ、脚が動かせない。

 掴んだのは、言わずもがな明日香。

「あ、明日香、離してっ。先輩ヤバいからっ」

 俯いた明日香の頭に言葉を吐く。

 視界の中に、突き出した明日香の胸が飛び込む。

 その撓わな胸に、思わず凝視しそうになる。

「…ねぇ…。どうなの…?」

 俯いた明日香の表情は分からない。

 ただ、体は小刻みに震えていた。

「後で…後で言うから、今は先輩が……」

「ねぇっ! どうなのっ!?」

 明日香の口から飛び出した大声。

 感情を露わにした声に美奈も先輩を掴んだ儘、明日香に視線を向けていた。

 滅多に感情を露わにしない明日香の声。

 部屋には波の音だけが流れていた。
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