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マネキンなカノジョ
第1章 プロローグ
「うん、そうそう」
「…ホントに…これで……?」
「大丈夫だって。そしたら次はシャツのボタンを………」
「でも、此処じゃ…」
「アイツ、そういうの好きだから悦ぶよ?」
「…うーん……でも………」
「俺、アイツの事知ってるからさぁ。信用してよ?」
「……じゃあ………」
「そそっ。取り敢えず今は、パァーッと外しちゃおうか」
「………やってみる」
「ちょっとっ! そこで何やってっ…!?」
「ヤバっ! 明日香ちゃん、続きはまた今度ねっ」
薄暗い路地。
通りに背を向けて立っていた男は、突然の怒声に慌てて走り出す。
男が居なくなった事で、路地から姿を現した一人の女性。
肩の下辺りまで伸びる茶色が掛かっているストレートな髪質のセミロングに、口元にホクロがある細面の整った顔立ち。
中背程の細身の体躯に、自己主張が激しい高く盛り上がった胸。
擦れ違えば誰もが振り返るようなその女性は、両手で自らの豊満な胸をブラウスの上から掴んで持ち上げて佇んでいた。
「大丈夫だった!?」
「えっ? う、うん」
「逃げた男に何かされなかったかい?」
「えっと……大丈夫……」
「だったら良いけどさぁ…」
漸く強張らせていた表情を崩して、ホッと安堵する若い男。
そんな男を見て、女性は人差し指を顎に当てて小首を傾げたのだった。