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マネキンなカノジョ
第2章 カノジョとランジェリー
 
「…あれ…明日香の事……だよな?」

 苦笑しながら言った男の言葉に、コクンと頷いてみせる。

「あの娘……今日は朝からおかしかったから……。熱は無いんだろうけど、やっぱ、顔が少し赤かったり、どっか焦点合ってないような目をしてたり………」

 男たちの会話の内容を肯定する言葉を吐けば、向かいの男は一段と表情を曇らせた。

「…何か…あったんかな?」

「…知らないわよ」

 一緒に居ても、あの娘の事となると途端に態度が変わる目の前の男に、唇を尖らせて不満げな態度を見せる。

「なぁ? 午後にでも…ちょっと探ってみてくれない?」

「はあ?」

 そんな態度を見せても、一向に気にした素振りを見せなかった事に、思わず刺々しい態度をとる。

「そんなの自分でやればぁ?」

 突き放すような言葉を吐いても、目の前の男は気にした様子を見せない。

「俺…深夜まで外回りだからさぁ……。元々部署も違うから、アイツとはなかなか話せないんだよ」

「途中で電話でもすれば良いじゃない」

「上司と一緒だから無理なんだよ」

「だったら、ご飯早目に終わらせて会いに行く?」

「いやぁ…。こんなの、面と向かって何て言ったらいいか………」

「じゃあ、心配してるってメールでもしたら?」

「いきなりそれじゃ、アイツもびっくりしない?」

「…はぁ………」

 ああ言えばこう言う押し問答に、いい加減疲れて溜息が洩れる。

 終いには『頼むからさぁ…』と、男はテーブルの上に両手を着いて頭を下げてくる。

「………ホントに……幼馴染みとして…心配してんの?」

 男の態度が何と無く気に入らなくて、思わず意地悪な言葉が口を吐く。

「前も言ったけど、俺はアイツを妹分くらいにしか………」

「……はいはい…分かったわよ。
 仕方ないから、アタシが一肌脱いであげるわよ」

 この前と同じ言葉が返ってきた事に多少安堵を覚え、嫌々そうな雰囲気を見せながら了承した。

「助かるよ。何か分かったら宜しくな?」

 安堵の表情を見せる男に、若干呆れながらも頷いてみせた。


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