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マネキンなカノジョ
第3章 カノジョとアルコール
「…二人で呑むの……久し振り………」
二名用の客席に座って、暫くすると小さなテーブルの反対側から、未だに顔を赤らめている明日香が口を開いた。
薄暗い店内には、カップルやカウンターでチビチビと酒を呑んでいるサラリーマンの姿がある。
男同士や女同士も珍しくない店だけに、雰囲気に気兼ねする事無く口を開いた。
「昨日、一緒に帰ろうと思ったら、速攻で居なかったよね?」
「……うん」
「何かあったの?」
「………ちょっと…用事………」
「そのあとは?」
「………別に………」
いつもながら短く淡々と話す明日香を見て、異常の原因を聞き出すのは骨が折れそうだとゲンナリする。
「何か……。明日香、今日おかしくない?」
「……!?」
様子を伺うように訊いてみれば、目を見開いて軽く肩を跳ねらせた。
…やっぱ……何かあるんだ………
その反応に、少なからずの確信を持った。
しかし、明日香の性格を考えると、素直に話すとは考えにくい。
…この娘……ヘンに意地張るからめんどいのよねぇ………
白いブラウスにスリットが入った黒いタイトスカートを纏った明日香を横目で見る。
…お堅いって言うか…
清純って言うか……
この娘の砕けた服って………
付き合い長いけど、見た事無いのよね………
昔から、服装も代わり映えしないし………
「取り敢えずさ、何か呑もうかっ?」
「……うん」
素面の儘じゃ埒が明かない。
明日香が頷いたのを見て、店員を呼んでオーダーした。