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マネキンなカノジョ
第2章 カノジョとランジェリー
「橘くん、これも頼むよ」
「分かりました」
上司に渡された手書きのメモをカタカタと打ち込む。
「橘くん、これもいいかな?」
「分かりました」
「明日香ちゃん、ついでにこれも」
「良いですよ」
気付いたら、手元には十数枚のメモが溜まっていた。
「橘くん、いつも悪いねぇ」
本心では無いと分かる上司の言葉。
「仕事ですから」
いつも通りの上司の感情が籠もっていない言葉に、いつも通りの返事をする。
「明日香ぁ…。あんまり、はいはい言っちゃダメよぉ?」
隣の席に座る同期の女の娘が、呆れた表情を見せてくる。
「仕事だし、無理はしてないから」
「そうじゃなくてぇ。何でも言う事聞いてたら、図に乗られるだけだってぇ」
笑みを浮かべて返答すると、余計呆れた表情を見せられる。
「はぁ……。何回言ってもダメだから、分かってるんだけどぉ…。 その性格、治せるなら治さないと……」
そう言った彼女は『ま、無理だろうけどね』と最後に呟くと、自分の机に向き直った。
…この性格……
ダメ……なのかなぁ………
小首を傾げながらも、再びキーボードを叩き始める。