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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第22章
「………………」
(これだけしても、クリスは、起きないんだけどね……)
そして、今でも尚。
自分が この行為をして、思い出すのは――
「……ありがとう、クリス。そして……、ごめんなさい……っ」
語尾を震わせたヴィヴィは、すっと兄から躰を引いた。
まるで “寝込みを襲うなんて卑怯な事をした” と悔いるかのように、両手で己の口を覆ったヴィヴィ。
その掌の上にある大きな瞳には、透明な涙が盛り上がり。
すぐに決壊したそれは、両手の中へ吸い込まれるように流れ落ちていく。
「……~~っ」
いつも いつも私を赦し、すくい上げてくれる人。
本当はそんな筈ないのに、
私が双子の兄の隣りにいるのが当たり前の様に振る舞い、
さり気なく居場所を作ってくれる人。
でも、
だからこそ、
私は貴方を選べない。
だって、
あの人を超える人は、私の中に存在し得ないから。
この胸の一番奥底に、今ですら巣食い続ける あの男以上には、
誰だって なれやしないんだから。
だから、私は、
私にとって誰よりも大切なクリスを、
“添い遂げる相手” には、選べないのだ。