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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第6章
そういうものを目にすると、流石にすごく落ち込むので、
ヴィヴィはこの1年3ヶ月、「この贈り物は変だ」と気付いた時点で、速攻ポイしていた。
「お嬢様。今日からは私が目を通します」
ソファー前のテーブルに、こんもりした手紙類を掻き集めた朝比奈は、
ヴィヴィが手にしていた封筒さえも、取り上げてしまった。
「お嬢様のその様なお心遣いは――まあ、たまに過りもありますが――私は、とても素晴らしいものだと思います」
そう発した執事の声は、ちゃんと暖かくて。
「……う、ん……」
おずおず顔を上げたヴィヴィ。
「しかし、私にはそのような気遣いは必要ございません」
念押しも忘れずしてくる朝比奈に、小さな顔に宿ったのは、安堵の微笑みだった。
「分かった……。うん、これからは、きちんとお願いするね?」
素直に言う事を聞く21歳の女主に、39歳の執事が眼鏡越しに向ける瞳は、
どこからどう見ても “保父さんの眼差し” なのだった。
↓ おまけ : 朝比奈の心の声
(お嬢様……。良いお返事です。良く出来ました。
ああ、なんて、お可愛らしい――)