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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第6章
8月29日(火)。
早朝からロンドン入りした双子は、バッタバッタしていた。
「次、ヴィヴィは会議室1に、デイリー・エクスプレス社ね」
ING LONDON(マネジメント会社)の女子マネージャーが、きびきびと取材の割り振りを指定していく。
「はいっ」
スポンサーのプリングルス オブ スコットランドのワンピを纏ったヴィヴィが、言われた通りに会議室1へと向かう中、
「クリスは~、会議室3に デイリー・テレグラフ社~」
「はい……」
クリスもマネージャーに指示され、ヴィヴィと同じくプリングルス オブ スコットランドのシャツとベスト、パンツ姿で会議室へ向かう。
「あ~、ヴィヴィ! ザ・サン社が「夕刊に間に合わないっ」って焦ってるから、早めに切り上げて会議室4ね」
後ろ姿にそう釘を刺され、
「え、あ、はい」
きょとんとしたヴィヴィは、それでも素直に頷く。
「ええと……、会議室1にD・E社……。早めに切り上げて、会議室4にD・T社……じゃなかった、T・S社……」
歩きながらも間違えないようにと、ぶつぶつ口の中で復唱していると、
「お~い、Channel 4さんが、もう到着したって~!」
現地スタッフのその報告に、
「ええっ? まだ30分も前じゃないっ しょうがないわね~っ」
女子マネージャーが苛立っている様子が、手に取るように解かり、
「じゃあ、ヴィヴィ! ザ・サン社が終わったら、衣装チェンジして、リンクへ猛ダッシュ!」
また後ろから大声で叫ばれて、振り返ったヴィヴィは眉をハの字にし、
「ふ、ふえ~~いっ」
そう情けない返事を返したのであった。
(や、やばい……っ 忙し過ぎて、頭ん中、ごっちゃごちゃだ~~)
どうして、双子がこんなに多忙かというと――
明日から 双子を主催とするアイスショーが開幕するからだ。
Twinkle ICE ロンドン
8月30日(水) 12:00開演 17:00開演
8月31日(木) 12:00開演 17:00開演
Twinkle ICE エディンバラ
9月2日(土) 11:00開演 16:00開演
9月3日(日) 11:00開演 16:00開演