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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第6章
「まだ決定は、されていないと?」
「ん~~。そうですね。一生を左右すると言っても過言では無い選択なので、ぎりぎりまで考え抜こうと思っています」
その後、話題はショーで披露する新しいプログラムについて に移り、ヴィヴィはまた笑顔で熱く語り始めた。
取材は何とか午前中で終わらせ。
ランチを摂りながらも、これからの流れや本番の進行について、説明を受けていた。
「――て事ですので。まあそんなに気負わなくても、裏方の我々の方でカバー出来ますから、ドンと構えて楽しんで下さい」
制作会社のITVのスタッフは笑顔で そう言い置き、双子のいる大会議室を後にした。
本番までのタイムスケジュール。
本番の進行、双子それぞれの役割分担など。
事細かに記された書類を、ぺろりぺろりと細い指先で捲りながら、サンドウィッチを頬張っていたヴィヴィ。
けれど その手は、ある書類を目にした途端、凍り付いた様に動きを辞めてしまった。
「………………」
(ちょっと、考え無し、だったかな……)
午後からはグループナンバーの振付やリハ、懇親会も予定されているというのに、今頃になって弱気になるなんて。
無意識に吐き出してしまった微かな吐息に、目の前に腰掛けていたクリスが、すっと顔を上げて見つめてきた。
「ヴィヴィ、どうしたの……?」
「……うん……」
自分と瓜二つの大きな瞳から、視線を落とす。
手にしていたのは、このショーの要綱。
長い腕を伸ばして妹から取り上げた兄は、その内容を確かめ、一瞬きょとんとし。
けれど、その書類が自分達に突き付ける現実を、すぐに理解したらしい。