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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第6章     

「純粋……なんだね。その、すごく、可愛いよ」

 そう続けたデニスの瞳の下は、若干 赤らんでいた。

「……は……はは……」

 薄い唇から零れたのは、乾いた誤魔化しの笑い声。

(ま、まずいぞ……。デニス、絶対に私のこと “処女” だと思ってる……っ)

 実際のところ、性欲を持て余して早朝から走り込んでいる “煩悩の塊” のヴィヴィは、

 故意では無いものの、デニスに誤解させてしまい申し訳無く、目も合わせられないのだった。

「じゃあ、僕、もう少し走るから」

「あ、う、うん」

「また、朝食で!」

 爽やかな笑顔一つ置いて、軽やかに走り去って行く その後ろ姿に、

「とほほ……」

 薄い唇から洩れたのは、そんな情けない声なのだった。






 部屋へ戻れば、ルームメイトのペニー・クームスはもう起きていて。

「ハイ! いつも早起きサンね?」

「ペニー、おはよう~。シャワー使うね?」

 手早く汗を流し、化粧水を付けていると。

 デスクに置かれたままだったスマホが、点滅しているのが目に入った。



Title:両親がそっちへ向かった

Letter:

 知っているだろうが、

 2人は今日の便で ロンドンへ向かっている
 
 ショーも後2日。

 頑張りなさい。



 確かに。

 英国時間0:50に、両親が羽田発(現地8:50)の飛行機で、こちらへ向かっているのは聞いていた。

 本日はロンドンのオーウェン邸に宿泊し、明日のTWI最終日に、エディンバラ入りする予定で。

「………………」

 一読しただけで、匠海からのメールを削除したヴィヴィ。

 待っていてくれたペニーと連れ立って、朝食を摂りにレストランへと降り。

 もちろん、牛乳を一気飲みしたのだった。

「ぷはぁ~~っ う~~ん、旨し」

(これでもう、エロい夢とは「おさらば」だもんね~~!)






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