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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第14章        

 一旦 己を抜き取り、華奢な肢体を抱きかかえた匠海は、

 今度は自分が座面へと寝そべり、まだ一度も吐精しておらぬ剛直を再び妹の中に収めた。

 腰の上にぺたりと座りこみ、奥深くまで受け入れさせられたヴィヴィ。

 もはや背中に引っ掛かっただけのバスローブを脱がせた兄は、

 掌に吸い付く しっとりと汗ばんだ肌触りを確かめながら、満足そうな声を漏らす。

「はぁ……。なんて、綺麗なんだろうね、お前は……」

 白々とした朝日に照らされた肢体を、眩しそうに見上げてくる切れ長の瞳。

「いい眺めだ。ずっと見つめていたいくらい」

 最上級の褒め言葉に若干 恥ずかしそうな微笑を浮かべた女は、

 寝そべっていても引き締まり逞しい男へと、ゆっくり覆い被さっていく。

 硬い胸筋の上に愛らしい膨らみを押し付ける妹に、

 兄は嬉しそうに「ん? 下から突いてほしい?」と耳元で囁いたが。

 背を抱き寄せられるよりも早く、身を引いたヴィヴィは、匠海を銜え込んだまま腰上に座り直した。

 そして、その右手に握っていたものは――

「撮って、いいよ?」

 4.7インチの “それ” を顔面に突きつけてくる女に、「え?」と短く聞き直した男。

「写真、撮っていいよ?」

「………………」

 床に放置されていた匠海の服から拾い上げたスマホ。

 それにかつて知ったる暗証番号を打ち込んだ妹は、兄の左手にそれを握らせた。

「それとも、動画のほうが、説得力? あるのかな?」

 にっこりと屈託のない笑みを浮かべたヴィヴィが、匠海の上で腰を振り始める。

 合成写真など、昨今は素人でも簡単に作成できる。

 よって映像の真偽を立証するには、静止画より動画の方が確実と思われた。

 動画であれば自分の声が入るし、専門機関なら声紋鑑定も可能であろう。


 “ハメ撮り動画が流出したフィギュアスケーター” ――か。

 それでも私はまだ、

 人前で滑る事を許されるだろうか?


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