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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第15章
のだが――
「幻滅はしてないさ。どうせその “セフレ” だって “元彼” と同一人物なんだろう?」
「……――っ」
今度はヴィヴィが目を見開く番だった。
判りやす過ぎるその反応に、2歳年上の男はシャツを羽織った両肩を落とす。
「情が深いというか、何というか……」
これ見よがしに重い嘆息を零した男は、可哀想な女を見る目を向けながら続けてくる。
「目の前に こぉ~~んなに “お買い得な男” がいるというのに、本当にヴィーは男を見る目が無いよなあ~~?」
「……っ 女性をとっかえひっかえの男が “お買い得” とは思えませんがぁ~~?」
「「とっかえひっかえ」って、人聞きの悪い。俺はその時その時、真面目に恋愛してたぞ? かぶってた時期もない」
「ほんとにぃ~~?」
2人が恋仲との誤報が上がった時、各国のマスコミは散々フィリップの過去の恋愛を暴き立てていたのだ。
そしてかくいうヴィヴィ本人に対しても、彼を狙う女性達が嫌味や脅しの言葉を投げて来たというのに。
「本当だって。それに渡英してからは、誰とも付き合ってない。手も繋いでないしキスもしてない」
「へえ……、それは意外」
てっきり歩く下半身男と思っていたフィリップが、ここ8ヶ月程女性とコトを致していないとは。
やはり彼も学問に本業を置く学生の身。
きちんとした心積もりで、このオックスフォードの地に脚を踏み入れたのかもしれない。