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どこまでも玩具
第10章 晴らされた執念
おれは信じられない気持ちで車から出て来た人物を見下ろした。
カーテンを開く。
窓には鍵がかかっていた。
開かない。
あぁ。
嘘だろ。
みぃずき。
おれは叫びたい衝動を堪える。
金原もいる。
信じられない。
よく、ここがわかったものだ。
助けて。
そう叫びたい。
でも、まだ父が家の中にいる。
一階に気配を感じる。
ガサガサとビニールの音がする。
何を買ってきたのか。
おれのものじゃありませんように。
今だけは、上がって来るな。
すぐに、門の方で騒ぎが聞こえた。
目をやり、また驚かされる。
母さん。
母さんがいる。
髪型が変わっているが、確かに母さんだ。
なんで。
みぃずき達が呼んだのか。
さらに謎なのがもう一人だ。
「類沢センセ……?」
なぜ、彼が。
まさか、協力に?
まさか。
おれは、センセを殺しかけたのに。
あの時も守られたのに。
なんで居るんだ。
父の声がする。
チャンスだ。
父が外に出た。
母さんと話している。
今しかない。
部屋の扉に走る。
鍵付きには見えない。
流石に拘束していれば大丈夫だと思ったのだろう。
おれは甘く考えてしまった。
何の警戒もなく、ドアノブを握った。
バチッ。
次の瞬間、世界が暗転した。
おれは薄れる意識にしがみついた。
あ、の、野郎。
ドアノブに電気を流していやがる。
ありえない。
ありえない父親だ。
わかっていたこと。
油断した自分に怒りを覚える。
あぁ、指一本動かない。
どうするかな。
ドアに頭をつけて、倒れている。
心臓がバクバクしている。
微量だったのだろう。
気絶を免れたことだけが幸いだ。
「アカ!」
「どこにいる!」
涙が出そうだ。
ここだよ。
ここにいる。
唇さえも動かない。
足音は確かにこの階にやってきた。
「金原はそっち見てくれ!」
「ああ!」
ドタバタと。
おれを探している。
でも、そっちじゃないんだ。
この部屋だ。
気をつけて。
電流が外にも流れていないとは限らない。
「み……ず」
唇が震えてしまう。
早く、解けろ。
「いた?」
「いや…」
「隣を!」
ガチャガチャッ。
来た。
目だけでドアを見上げる。
「あッッぐ」
悲鳴が聞こえた。