この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
どこまでも玩具
第11章 立たされた境地

 授業に戻ると、アカはいなかった。
 帰ったんだろうか。
 ふと、どの家に帰ったんだろうと思った。
 彼には今三つの家がある。
 考えるまでもない。
 あのアパートだろう。
 金原は普通に振る舞ってくれた。
 だが、俺と同じようにずっと物思いに耽っていた。
 待ち遠しい放課後がやって来る。
 冬休みの過ごし方を重々承知し、帰り支度をする。
 次に会うのは年明けだ。
 冬季課外は出席しないことにした。
 学校だろうと関係ない。
 なにかが起きる。
 そんなときに勉強なんてしていられない。
 金原は全日程参加するらしい。
 推薦が決まったというのに。
 聞けば、課題があるのだと。
 決まった奴も楽じゃない。
 「宮内。ちょっと職員室に来い」
 これほど篠田を鬱陶しいと思ったことはない。
 俺は一回着たコートを脱いで、職員室に向かった。

 「なんでしょうか」
 「なんの用かはわかってるだろう」
 周り中で二者面談が行われている。
 「進路、ですか」
 「ああ」
 篠田がパンフレットを取り出す。
 資料も。
 「今の学力で行ける大学だ。そのまま文系でいいのか」
 「はい」
 替える理由もない。
 「何か見つかったか、やりたいことは」
 「それどころじゃないっていうか……」
 「は?」
 「あ、いえ」
 大きな溜め息を吐かれる。
 俺の悩みの発端にあんたもいるんだぞと云いたくなる。
 「教師は?」
 「教師?」
 「就職は公務員が一番いい。教員免許は持っていて損するもんじゃない」
 違うことが浮かぶ。
 「免許ってどういう時に剥奪されるんですか」
 パンフレットで叩かれた。
 「話を逸らすな」
 「逸らしたつもりはないですが」
 「お前は国語が得意だからな。人文か教育系統が向いてるよ」
 「そうですか」
 「他人事に言うな。ほら」
 資料を渡される。
 なかなか厚い。
 「冬休みで決めろ。いいな」

 職員室から出る。
 コートを羽織る。
 肩が痛い。
 緊張していたのか。
 篠田相手に。
 いや、違う。
 類沢のことが気になって、だ。
 玄関に歩く。
 「瑞希」
 ぞわぁっと鳥肌が立った。
 鞄を握り、深呼吸をする。
 ここは学校。
 狼狽える必要はない。
 「な、んですか……雛谷先生」
 「話があるんだけど、いいかなぁ」
 大迷惑だ。
 でも、答えは一つ。
 「はい」
/228ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ