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初恋のひと
第4章 2人で…
暫くして、私は引っ越した。

娘には、更新時期がきたからアパートを変えるとだけ連絡した。
住所はあえて教えなかったが、聞かれもしなかった。

興味なさそうに、返事する娘の態度に、結城くんの言葉はほんとだったんだな、と思った。

結城くんと一緒に引っ越したマンションは、音大生が主に住んでいるという防音がしっかりしているところだった。

「美鈴さんがいくら声出しても大丈夫なように」

と、結城くんは笑った。




その言葉通り、私は結城くんに、新たな悦びを教えこまれ、毎日のように嬌声を上げ続けた。
未知の世界に足を踏み入れ、その世界が私の居場所になった。



結城くんだけが知る、私の姿。

甘く淫靡な蜜のような生活。
支配される悦び。
ひたすら愛され、求められ、必要とされる。


誰も与えてくれなかったものを、結城くんは与えてくれた。


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