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官能エッセイ集 ~官能の景色~
第11章 なりたい自分
でも帰って来ても私は“変わった”ようには思えませんでした。
夢を描き続けるだけで、定職にも就かず、アルバイト暮らしで“金と女”には不自由する暮らしが何年と続きました。
そんな自分にまた自信が持てず、また自己嫌悪の日々が続きました。
世界を一人で渡ってきたのだから、その見返りに簡単に“大金”が入って“女”も手に入るものと思っていました。
そう思い、最後のなけなしの資金でアメリカから雑貨を輸入し小売店に卸す仕事を始めました。
でも結局上手く行かず、やはりバイト暮らしに戻ってしまいました。
そのバイト先で今の妻と出会いました。
私は、半ば自分の“理想”を諦め、こんな無職の私を慕ってくれる彼女の家に入りました。
そして今は『食い物と女』には不自由しない生活をしています。
皮肉なものです。
今はなりたい自分になっているのです。
私には人生の意味はわかりません。
でも人生はどんな境遇でも楽しむべきものだと言う事は分かります。
完