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官能エッセイ集 ~官能の景色~
第14章 特別な日
服を着、来るときよりも明るい山の夜道を戻った。
彼女は手鏡と口紅を持ち、少しだけ化粧を直す。
待ち合わせ場所の公園の駐車場に着いた。
彼女の車の横に車を停める。
別れのキスをする。
彼女が上目遣いでつぶやく。
「また……して……」
彼女の今日二度目の要求だった。
私は微笑んで、うなずいた。
彼女が名残惜しそうに自分の車に乗る。
いつも私が最初に車を発進させる。
人を見送るという行為が、なぜか嫌だからだ。
運転しながら手の甲で口を拭った。
月の明かりに手の甲が赤くなっているのがわかった。
恋も人生も、ほんの些細なきっかけで変わるものだと思った。
特別な日は突然訪れる。
でもそれが特別だったと分かるのは、後でからの方が多い。
その日が、その年に一度あるスーパームーンの日だとわかったのは、彼女と別れて半年がたった初夏の満月の日だった。
満月は人の心を狂わす……。
その通りだったのかもしれない。
完
彼女は手鏡と口紅を持ち、少しだけ化粧を直す。
待ち合わせ場所の公園の駐車場に着いた。
彼女の車の横に車を停める。
別れのキスをする。
彼女が上目遣いでつぶやく。
「また……して……」
彼女の今日二度目の要求だった。
私は微笑んで、うなずいた。
彼女が名残惜しそうに自分の車に乗る。
いつも私が最初に車を発進させる。
人を見送るという行為が、なぜか嫌だからだ。
運転しながら手の甲で口を拭った。
月の明かりに手の甲が赤くなっているのがわかった。
恋も人生も、ほんの些細なきっかけで変わるものだと思った。
特別な日は突然訪れる。
でもそれが特別だったと分かるのは、後でからの方が多い。
その日が、その年に一度あるスーパームーンの日だとわかったのは、彼女と別れて半年がたった初夏の満月の日だった。
満月は人の心を狂わす……。
その通りだったのかもしれない。
完