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ひよこと野獣
第1章 野獣 武志の苦悩
学校の保健室で午後の授業を昼寝でさぼる。
それが俺の日課だ。
弁当を食べた後の授業は頭が働かないし、何より眠い。
けど机で寝ると体が痛いからな。

今日もいつものように熟睡してた時だった。

「武志先輩」

耳元で聞こえる女の声。
保健の先生にしては幼い気がする。
っつうか先輩って呼んでる時点で違うか。

「…んだよ、もう帰りか?」

「起きました?」

薄目を開けると目の前には見知らぬ女。
けど制服のリボンが赤なのを見ると一年か。
一年の女が俺に何の用だ?

「お前誰だよ…」

「あ、私一年二組の陽菜って言います!」

元気に返されぐったりする。
俺は寝起きがいい方ではない。

「で?そのぴよちゃんが何の用なんだ?」

「陽菜です!ぴよちゃんじゃないです!」

え、ひなって雛だろ?
ひよこの。

だんだん頭がはっきりしてきた。
ボブショートの髪にくりくりとした大きな目。
やべえ…もうひよこにしか見えなくなってきた。

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