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一夜の愛、人との愛
第13章 金の拘束
泣きそうな真理亜の瞳を鋭く睨み返してから、顎を引き、胡座の中の己自身を示してみせる。

躊躇しているのだろう、真理亜は数秒、動きを止めて熱っぽい息だけを吐いていたが、蜜襞に埋めたままのザレムの指には、女の身体が歓びに悶えるさまが、はっきりと伝わっていた。

色欲を刺激する空気に押され、揺れ惑う真理亜の表情が、金色の瞳に蠱惑的に映り込む。

「……ん、ぁあ…ッ」

ぐっしょりと濡れた右掌を、滑りを借りながら真理亜の腰から引き抜き、ザレムは女の身体を自由にした。

そのまま、官能的な匂いをまとった手を地面に降ろす。

外気に触れたはずの指先は、いまだ熱く疼いて仕方ない。

鎖さえ無ければ、舐めとって味わいたくなる、濃厚な誘惑が、ザレムの鼻を擽ってくる。

(くそ)

軽く首を振って、目の前の女へ視線を戻すと、真理亜は、蕩けそうな腰をそっと持ち上げ、ゆっくりザレムの足前へ移動するところだった。

暗闇に強い天使の瞳が、その裸体のシルエットを的確に捉えると、ふと、妙な鈍い痛みが、ザレムを襲う。

(……?)

不思議な胸騒ぎに眉を寄せる。

心臓の辺りが、妙だ。

味わったことの無い感覚にザレムが表情を曇らせる間も、女の指はローブの腰回りを縛る金のバックルを外す。

途端、左肩に申し訳程度にかかっていたローブの布も、ザレムの肘の辺りまで落ちた。

「……は、ぁ」

胸元が全て露わになったザレムの姿に、真理亜が快感に染まった吐息を零しながら、バックルの奥に指をかけ、黒くたわむ布をかきわける。

2枚重ねになった布を引っ張れば、下着など身につけない天使の股間が、直に真理亜の指先に触れた。
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