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第12章 終点
胸のポケットに入れたケータイが震えた。



菜穂からのメールだ。





【今日必要だって言ってた資料、忘れてたよ!!
電車に乗るまでに届けたかったけど人が多くて近づけなかったから、一緒に電車に乗っちゃった(;´∀`)
向こうの駅の改札で渡すね!
通勤電車ってしんどいね。こんな中毎日お仕事頑張ってくれてるんだね。ありがとう♡】





車内を見回すと、違う扉の近くにいる菜穂と目が合った。

目が合うと小さく手を振ってくる。




さっきまでの震えが治まる。






あぁ、そうだった。
両親からのプレッシャーで辛かった時。
周りへの劣等感で苦しかった時。

いつも菜穂が癒してくれた。
何をするわけでもなく、ただ一緒にいてくれただけで良かった。

菜穂さえいれば、他の女なんていらない。

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