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第2章 お仕事、決まりました!
「斉藤さん??」

『美織ちゃん!!』



オーナーと呼ばれた男性は、当時
常連客だった斉藤さんだった。

見た目から【熊さん】と心の中で呼んでいた。

熊さんは、私の舞台を見に来てくれたり
「女優目指すなら身なりは綺麗にしておきなさい」
とたまに服も贈ってくださったり、とにかくお世話になった。

結婚して女優を諦めると報告した時も
「惚れた男と一緒になることも夢の1つだろ?幸せになりなさい」
と、アルバイト最終日に花束をくれた。


そんな熊さんと、懐かしい思い出話に花が咲く。
マスターは、奥様が体調を崩されたのをきっかけに、田舎に帰られたらしい。

コーヒーの味が同じなのは
「俺はマスターのコーヒー毎日飲まないと生きていけない体になってるから」
と、マスターが田舎に帰る前に淹れ方や豆から全てを教えてもらったからだという。

マスターに会えなかったのは残念だが、熊さんに会えたのはとても嬉しいことだった。
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