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白雪姫にくちづけを
第22章 翔平×浩巳×カズヤ
『遠藤くんは一日、ずっと彼女を見守ってた。
言葉は少なくても、君の彼女を想う気持ちはちゃんと届いてるよ。
だから彼女も…君を信頼してる。』
『………。』
『あ、会ったばかりのおれに言われても説得力ないか。
でも、外から見てる方が、案外分かりやすいものなんだよ。』
翔平の言葉は、不思議と浩巳の心にスッと入ってくる。
『君は、彼女の役に立ちたいんだろうね。』
ふいに核心を突かれて、浩巳は顔をあげた。
『…だから、おれなんかがすごいって、大人に見えるんじゃない?
焦らなくても、ちゃんと皆、いい所持ってるよ。』
そこまで言うと、翔平は空の缶を潰して立ち上がった。
『ちょっと喋りすぎたかな?
遠藤くんはこれからだよ。やりたいこと見つけたら、全力で頑張ればいい。そうしたら自ずと自信も持てるよ。』
そう言い残し、翔平は梨々子の元へ歩いて行った。
『やりたいこと…』
(本を読む以外に、今までは見つけられなかった。)
───「彼女の役に立ちたいんだろ」───
(そうだ。おれはあずさの為に、もっとしっかりしたい…)
──=「ぼく、つよくなるから!」=──
(…?何だ、今の…?)
頭に浮かんだ言葉。
けれども彼には、それ以上分からなかった。
浩巳はコーラを飲み干し、花火の輪へ歩き出した。